ニシン漁は3月末頃から始まりました。
雇用契約を前年の末頃に済ませた漁夫は、漁が始まる1ヶ月前になると、簡単な夜具や郷里からの土産を携えて鉄道や船により、
各自の漁場に到着しました。
到着後、「あごあわせ」という安着祝いと初顔合わせを兼ねたささやかな酒席を設けた後は、すぐに漁の準備が始まりました。

右の画像は「雪割り(雪切り)」の様子です。
漁師が揃うと、まず番屋や蔵の周りに積もった雪を除雪する「雪割り(雪切り)」の作業を行います。

そして、三半船や保津船をロウカと呼ばれる船倉から搬出する作業がありました。(左画像参照)
搬出後のロウカは下半分の壁板がはずされて、陸揚げされたニシンの一時的な収納場所として使用されました。
山仕事では道具や梱包に使用する木材やシナ、オヒョウの樹皮、ツタなどの切り出しを行い、
海岸の整備では船入澗の石の除去や浜ならし(右画像参照)を行い、そして、たくさんある漁具の点検、網の仕立て、
縄ない等を行いました。
建網を海底に固定する土俵は、莚(ムシロ)に砂や砂利を詰めて円筒形の俵型にしたもので、これもこの時期に作られました。
その後、「型入れ」という身網・手網を固定するための土俵と網を海中に固定する作業が行われ、
これで一通りの準備が終了します。
準備終了後、漁場でもっとも大きな宴会「網下し」が行われました。
親方や神主が漁場内に祭られたお社に参拝、そのあと親方から訓示が述べられ、「船頭などの役職・漁夫氏名・就業規則」が発表され、
それは番付板(定板)に記され、番屋の見やすい場所に掲示されました。
飲めや歌えの大宴会の締めは胴上げで豊漁を誓い合いました。